当サイトは18歳未満の閲覧を固くお断りしております。

放課後(NL/ソフトSM)

 サナは、いつも図書室にいる先輩のことが気になっていた。いかにも真面目そうな容姿の彼は、図書委員だ。

   ◆ ◆ ◆

 気になり始めたのは、半年ほど前のことだ。サナは児童文学を好んで読む。その日も目当ての本を見つけると、本を持ち、カウンターへ向かった。

 カウンターにいたのは、いつもの司書さんではなく、図書委員の彼だった。いつもの司書さんならまだしも、同年代の男子に児童文学を借りるところを見られると思うと、気が引けた。借りるのはまた今度にしようかと悩んでいると、彼が声をかけてくれた。

「借りないの?」

 借りません、とは言えなかった。

「借ります、お願いします」

 彼はにっこり微笑むと、サナが差し出した本を受け取った。

「へえ、この本、俺も読んだよ。面白いよ、これ」

「そうなんですか。私、読んだことなくて。ただ、すごく読むのが楽しみで! この人の前作もすごくよかったし……」

 相手が借りようとしている本を読んだことがあると聞いただけで、気分が弾み、思わず熱く語り始めてしまいそうになった。サナの周りに、本の話をできる友人はいない。 

「すみません……、返却日はいつですか?」

「どうしたの、急に。いいんだよ、別に人が並んでるわけじゃないんだから」

「初対面の人に熱く語ろうなんて……本当にすみません」

「いいのに。俺でよければ、いくらでも聞くよ。そうだ、その本を読んだ感想、今度聞かせてよ」

 それからすぐにサナは本を読み終えた。しかし、図書委員の彼に感想を伝えることは未だにできていない。

   ◆ ◆ ◆

 なぜ、自分は図書委員に立候補しなかったのか。クラスメイトで友人のマユがうらやましかった。

「たぶん、シンドウ先輩だと思うよ。さっさと話しかければいいじゃん」

 若干にやつきながら、マユが彼の名前を教えてくれた。

「難しいよ……。なかなかタイミングがつかめなくて。それに、私のこと忘れてるかも」

「忘れてるってことはないと思うよ。そんなアホな人じゃないし」

「アホじゃなくても、興味ないことは忘れるものでしょ」

 児童文学を好む後輩の女のことなんて、さぞかしどうでもいいことだろう……。自分で言った言葉が刺さる。図書室通いもやめることにしよう。正直、今の状況はストーカーじみている気がする。本を借りられなくなるのは痛いが……。

「もうシンドウ先輩には会いたくないけど、本は借りたいよ~」

「なんでそうなっちゃったの、サナ。ま、いいけどさ……。シンドウ先輩、昼休みは当番じゃないから図書室にいないと思うよ」

 サナは、昼休みに図書室通いをすることにした。

   ◆ ◆ ◆

 何週間か、シンドウ先輩に会うこともなく、サナは昼休みの図書室通いを続けていた。だが……。

「放課後に来るのやめたんだね。部活とか、始めたの?」

 サナは、シンドウ先輩の声を久しぶりに聞いた気がした。声をかけられて嬉しかったが、激しく動揺していた。

「ええと……昼休みのほうが空いてるって、聞いたんです」

「そうなんだ。そんな話、聞いたことないなぁ。実際、そんなことないと思うし」

 サナは言葉に詰まった。たしかに、昼休みは人が多い。ただテーブルで喋りに来ているグループもいるくらいだ。放課後よりずっと騒がしい。

「もしかして、俺のこと避けてる?」

 サナはどう返せばいいかわからなかった。シンドウ先輩は、その問いかけ以降、話そうとしない。沈黙が、とても居心地の悪いものに感じた。しばらく悩んだが、正直に言う外ないと判断した。

「はい、避けてました。ずっと、あの本の感想をシンドウ先輩に話したくて……。でも、シンドウ先輩は私のことなんか忘れちゃってるんだろうなと思ったら……」

「忘れてないよ。名前を聞き忘れたことを後悔してたくらいだ。あの本の話をできる人は希少だからね。俺の名前は一体どこで?」

「マユ……同じクラスの図書委員の子が、教えてくれました」

「ミサキさんか。今度、お礼を言わないと。ところで、君の名前を教えてくれないか」

「ウルシマ サナです」

「ウルシマさん、今日の放課後、さっそく本の感想を教えてよ」

 こうして、再びサナの放課後の図書室通いが始まった。それから、自然とシンドウ先輩との仲は深まって行き、期末には、お互い下の名前で呼び合うようになっていた。

   ◆ ◆ ◆

「サナさんって、恋人とかいるの?」

「ど、どうしたんですか、急に……いませんけど」

「それもそうか、恋人がいたら、放課後にこんな風に図書室でゆっくりしていないよね」

 シンドウ先輩もとい、スバル先輩は、からかうように笑う。

「う、うるさいですね……。先輩こそ、どうなんです?」

「俺? 俺だって恋人なんかいないよ。サナさんとせっかく仲良くなれたのに、恋人ができたら、もう図書室に来なくなっちゃうんだろうなぁって思っただけ。そのうち、サナさんは誰かにとられちゃうんだろうなあ。こんな風に、楽しく本の感想を言い合えるのはサナさんだけなのに」

「スバル先輩が私の彼氏になってくれたら、いいんじゃないですか?」

 サナは我ながら思い切ったことをしたと思った。こんなタイミングで、自分の気持ちを明かすとは思ってもみなかった。しかし、この雰囲気なら、「まあ、冗談なんですけどね」と言うこともできる。

「俺? 俺はサナさんのこと好きだけど……俺はやめておいたほうがいいと思うよ」

 さらりと好きだと言われて、胸が高鳴る。好きだといいつつ、なぜやめておいたほうが良いなんて言うのか。

「好きならいいじゃないですか。なんでやめておいたほうがいいなんて言うんですか。私もスバル先輩が好きです」

 スバル先輩の顔が少し赤くなった。

「そ、そうなんだ。サナさん、俺のこと好きなんだ……」

 サナはこくこくと頷く。サナ自身も、顔が赤くなってしまっていることだろう。顔がとても熱い。

「でも、俺はやめておいたほうがいいかも」

「だから、どうしてそんなこと言うんです!」

 司書さんが、じろりとこちらをにらむ。

「……。俺はその……すごく変態だから」

「へ?」

 思ってもみない言葉に、間抜けな声がでた。

「それでも良ければ、明日、放課後に下着を履かないで来て」

   ◆ ◆ ◆

 翌日の放課後。サナは図書室のそばの女子トイレの個室の中で悩んでいた。手には、脱いだばかりのショーツが。

 とうとう決心すると、ショーツをカバンにしまい、図書室に向かった。

「サナさん。よかった、昨日のことで嫌われて、もう来ないかと思った。気持ち悪がられたかと……」

 サナはスバル先輩の隣の席に腰かけた。

「何か用事でもあったの? いつもより、遅かったけど」

 昨日のことを気にして落ち着かないのか、スバル先輩はいつもよりおしゃべりだ。

「確認しないんですか?」

「え? 何を?」

 サナは声をさらに潜めて「私がパンツを履いてるかどうか」と言った。スバル先輩は、その言葉を聞いた瞬間、サナの腕をつかむと、人気のない書架の裏へ連れて行った。

「ごめん、俺、すごく期待してる。今日は俺が鍵当番だから、もう少し待てば人なんかいなくなるけど、それまで待てない」

 スバル先輩はしゃがんだ。スカートの前にスバル先輩の顔がある。

「確かめていい?」

「どうぞ。ノーパンなら、付き合ってくださいね。そうじゃなかったら、今まで通りお願いします」

 少し意地悪を言ってみた。効果は覿面だったらしく、目に見えてスバル先輩は落ち込んでしまった。

「そ、そうか、そうじゃない可能性もあるのか……」

「早く確認してください。人が来ちゃうかも」

 スバル先輩がごくりと唾を飲み込んだ。

 スバル先輩の長い指が、サナの太ももに触れた。

「あっ?」

 予想外のことに、思わず声を上げる。少しくすぐったい気もするが、ぞくぞくした。

「スバル先輩、スカートをめくって確かめるんじゃないんですか?」

「あれ、俺そんなこと言ったっけ。触って確かめるよ」

 サナの顔がどんどん赤くなる。まさか、触って確かめられるとは思いもよらなかった。汚かったらどうしよう、濡れてるのがばれたらどうしよう……。

 先輩の手は、サナの太ももを上に向かって進んでいく。やがてスカートの中に手が差し込まれた。

「緊張するな。履いてたら、どうしよう。もし、履いてても、今まで通りには接してくれるんだよね? それなら、好きな子の太ももを触れたんだし、別にいいか……」

「変態。は、早く確かめてください」

「だから、変態だって言ったじゃん」

 スバル先輩の手が再び動き始めた。太ももの付け根、下腹部……。

「あれ? もしかして履いてない?」

「そ、そうですよ。履いてないんです。わかってくれましたね? 席に戻りましょう」

「いやいや、まだ確かめられてないから」

 そういいながらスバル先輩はサナを見上げた。

「目が怖い……」

「ごめんね、もう少しで終わるから」

 スバル先輩の手が、サナの茂みに触れた。

「うーん、まだTバックの可能性もある……」

 そんな可能性あるかと反論したかったが、口を開いてしまうとまた声を漏らしてしまいそうだ。サナは唇をかみしめるしかなかった。

 手はさらに下へ。サナの興奮してすっかり固くなった肉芽に触れた。指の腹でそれを軽く撫でられると、体がビクンとはねた。

 やがて、スバル先輩の指が、サナの割れ目を撫で始めた。撫でられれば撫でられるほど、そこがすっかり愛液で濡れていることを思い知らされる。

「履いてないんだね。うれしいよ、サナさん。記念写真撮るから、スカートを自分でめくって」

 サナはおずおずとスカートをめくった。

 サナの茂みがあらわになる。太ももの付け根がぬらぬらと光っている。スバル先輩はポケットからスマホを取り出すと、カシャッと写真を1枚撮影した。

 サナは、スカートをもとに戻した。

   ◆ ◆ ◆

 サナはショーツを履き、スバル先輩は手を洗い、テーブルに戻った。

「うれしいな。これから君は俺の彼女なんだね」

「はい、よろしくお願いします」

「あと1時間もすれば、みんな帰るよ。どうする?」

 図書室にその時間まで残っていたら、どんなことがあるのだろう。スバル先輩に何をされてしまうのだろう。

「スバル先輩と一緒に帰りたいです」

「残ってくれるんだね。ありがとう」

 そのあとは、いつものように本の話をしているだけで、あっという間に1時間が過ぎてしまった。スバル先輩の言った通り、みんな帰ってしまった。司書さんも「あとは施錠よろしく」というと、帰って行ってしまった。

「さ、施錠しようか」

 そういうと、スバル先輩は窓のカギをチェックし始めた。

「え? 何もしないんですか?」

「エッチ。何考えてたの?」

 サナの顔がみるみる赤くなる。これではサナのほうが変態みたいだ。

「嘘だよ。そういうのは、ちゃんと施錠した後にしよう。邪魔されたくないだろ」

「……」

 スバル先輩は窓の施錠を終えると、2か所ある入り口も施錠した。

「何しよっか。どんなことしたい?」

「……キスがしたいです」

 スバル先輩は嬉しそうだ。スバル先輩は、椅子に腰かけた。

「じゃあ、君からして」

 サナはスバル先輩の膝の上に向かい合うようにして座る。恐る恐る顔を近づけていき、ゆっくりと目を閉じて唇で唇に触れようとした。

「そこは鼻だよ」

「ご、ごめんなさい」

 スバル先輩はぎゅっとサナを抱き寄せた。

「好きだよ、サナさん」

「私もです」

 サナは今度こそ、唇でスバル先輩の唇に触れた。

「好きです、スバル先輩。変態でも平気です。私も変態になりますから……」

   ◆ ◆ ◆

 変態でも平気なんて言ったことをサナは後悔していた。サナは今、全裸で手足を縛られ、目隠しまでされ、テーブルの上に寝かされている。

「やっぱり、全然平気じゃないかもしれません……」

「え! 今更!?」

「私、処女なんですよ! こんな初めてはさすがに嫌です」

「今日は挿れないから……それでも嫌? 嫌ならやめる」

「……なら、いいですけど。初めてスバル先輩とセックスするときは、縛ったり目隠ししたりはしないって約束してくださいね」

 スバル先輩は「約束する」と嬉しそうに笑うのだった。