2025年大晦日の夜、サナは布団の上で正座をしたまま、ヘビガミを待つ。襖がゆっくりと開かれ、ヘビガミが姿を現した。その姿は、普通の人間の男と遜色がない。長く細い舌をちろちろとせわしなく動かしながら、ヘビガミはにやりと笑った。
「今日で最後なんて、ほーんと残念だなぁ。でも、俺のことを忘れないようにたっぷり可愛がってあげるから、覚悟しておいてね」
ヘビガミはそういうと、するするとサナの着物を脱がせていく。
「また12年後にお会いできますから……」
「……12年なんて俺たちにしてみればあっという間なんだけど、それでも惜しいものは惜しいんだよ」
ヘビガミはサナの耳の裏にわざとらしく音を立てて口づける。彼はサナの胸の感触を楽しむかのように柔らかく揉みしだく。
「ん……」
サナの口から、甘い息が漏れる。ヘビガミはサナを後ろから抱き寄せると、下腹部へと手を滑らせていく。サナの秘所はすでに潤っていて、物欲しそうに時々ひくついてみせる。
――蛇の雄は、半陰茎と呼ばれる生殖器を持つ。左右に広がるように一対……つまり、二本あるのだ。ヘビガミも、同様のものを携えていた。
背中に二本の熱を帯びたそれがサナの背中にあたる。それは、本物の蛇のようなトゲはないが――あるいは、ヘビガミが気を使って、トゲをどうにかしてくれているのかもしれないが――ヘビガミが人ではないのだということを思い出させてくれる。
「今日は、二本使ってもいいかな? ……なぁ、いいだろう?」
「……ヘビガミさまのお願いなら……」
「ありがとう」
ヘビガミが目をきゅっと細めて笑う。サナを寝かせると、二本の己を彼女の秘所と後ろにあてがった。そして、そのままぐっと腰を前に突き出し、彼女の中へと沈めていく。
「……っ、ああ……ん……」
「はぁ……最高。サナちゃん、今夜は壊れるまで愛してあげるから覚悟しておいてね……」
熱い息を吐きながら、ヘビガミはサナを貫く。二本の生殖器が動く度に、サナの身体は快楽に染まっていく。
サナは唇を噛み、シーツを強く握る。無意識のうちに、ヘビガミの動きに合わせて腰を揺らしながら、達するたびに彼の熱を抱きしめる。
二人は獲物を前にして興奮しきった獣のように肩で息をし、汗と愛液でぐちゃぐちゃになりながらも、動きを止めない。肉と肉がぶつかり合い、互いの輪郭を削るかのように擦りあう。
何度も何度も、深く貫かれたサナは、大きく背中を反らして達した。
「あああっ……」
彼女の口はだらしなく開き、目は虚ろだ。身体は秘所を中心にぷるぷると震えている。
それでも、ヘビガミはお構いなしに突き上げ続けた。サナは人の言葉を失ったかのように、唸り声のような喘ぎをあげながら、快感の海へと溺れていく。すでにサナの頭はほとんど機能していない。
ヘビガミはは一層深く突き入れると、そのまま果てた。サナの前にも後ろにも、熱い白濁が吐き出された。
「ふう……まずは一回。サナちゃん、大丈夫? 夜はまだまだ長いよ。ほら……しっかりして!」
笑いながら、ヘビガミがずんと突き上げる。
「……っ!!」
サナはほとんど白目を剥きながら、快楽に顔を歪める。
「ほら、しっかりしてってば」
「ぁああっ……うう……」
ヘビガミが二本の肉棒を勢いよく引き抜くと、サナの身体がびくんと跳ねる。中から白濁とした液体がごぷりと音を立てながら零れ出る。
ヘビガミはサナの身体を支えながら、彼女を四つん這いにすると、まだぽっかりと口を開けたままの二つの口に己を再び沈める。
「ああああっ……」
「サナちゃん、やっぱいいよね、これ……さっきより深いところまで届いてる」
サナの上半身は布団に倒れ込んでいるが、ヘビガミがしっかりと腰を掴んでいるため、完全に崩れることは許されない。
ヘビガミが再び動き始める。やや乱暴に、サナの前後の穴をかき回す。最奥まで一気に貫き、半分ほど引き抜く。それを素早く繰り返すたび、肉と肉がぶつかり合い、手を叩くような音が立つ。出し入れを繰り返され、先ほどの白濁が泡立ち、かきだされ、結合部から滲み出ている。
「絶対絶対、俺のこと……忘れないでね……!」
ヘビガミも再び限界が近いのだろう。動きが大きく、速くなっていく。ヘビガミの小さな呻き、身体に沈められたものの脈動と同時に、熱いものが内側に広がるのを感じた。
その後も、ヘビガミは日付が変わるその瞬間まで、サナを抱き続けた。
◆ ◆ ◆
サナが目を開くと、すでにヘビガミの姿はなかった。2026年になったようだ。その年の神でなくなった彼は、この屋敷から出て行かねばならない。そして、新しい年の神がこの屋敷にやってくる。
――こうしてはいられない。迎え入れる準備をしなくては。
サナはそう思ったが、身体に力が入らない。身体中、ヘビガミの残していったものでべとべとだ。
ふと、ヘビガミの言葉を思い出す。
『絶対絶対、俺のこと……忘れないでね……!』
サナは「もちろんです」とは言えなかった。永遠の時の中、もう12人の神々に何周も何十周も……いや、数えきれないほど仕えてきた。神々はサナのことを覚えていてくれるが……サナはいつも神に塗り替えられてしまう。頭も、身体も。
ヘビガミのひとつ前、タツガミがどんな神であったか、どんなふうに自分を抱いていたか。それすら、よく思い出せないのだ。
――申し訳ないな。
そんなことを考えていると、ダンッという大きな音がして、襖が開け放たれた。姿を現したのは……。
「サナ、久しぶりだな。げ……ヘビガミのやつ、最後にずいぶんと楽しんでいきやがったな」
「う、ウマガミさま……あけましておめでとうございます……」
ぶちゅっと、サナの蜜壺からヘビガミの濃い液体が零れる。
――ウマガミさまは……どんな方だっけ。たしか……。
少しずつ、ウマガミの記憶がよみがえる。それと同時に、サナの奥が、彼を求めるように収縮をはじめるのだった。
永遠の時の中、サナは巫女として……年の神を迎え入れ、仕える。
