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道化師のオルゴール(NL/人外/無理やり)

 前から気になっていた雑貨屋Teacup。アンティークものを多く扱うこの店の店主は、若い上に顔がいいときた。当然、店はいつも女性客でいっぱいだ。

 だが、サナには店主よりも気になっているものがあった。ウインドウから見える棚に置かれた、小さな四角い箱のようなもの。面ごとに色が異なり、小さな金色のハンドルが付いている。おそらく、あれはオルゴールだ。手に取ったわけでもないのに、一度見たときから、あれが欲しくて仕方がなかった。

(でも、高いんだろうな。それに、お店はいつもお客さんでいっぱいだし……)

 そんなことを考えながらいつものようにウインドウの方に目をやると、珍しく雑貨屋に客が居ない。サナは慌ててTeacupの扉を開いた。

「いらっしゃいませ」

 噂の店主が声をかけてくれた。妖艶に微笑む彼は、確かに魅力的で、多くの女性が夢中になるのも頷ける。サナは店主に軽く会釈をすると、まっすぐウインドウからいつも見ていた棚に向かった。ずっと気になっていたオルゴールを手にとってみる。想像していたよりも少し重い。プラスチックだと思っていたが、素材の大部分は金属製のようだ。

「それは少し音が軋んでしまっていますので、お安くしておきますよ。とても古いものなので、直すことも難しいですから」

 店主はそう言って微笑んだ。

「音が軋むって、どれくらいですか? 今、鳴らしてみてもいいですか?」

 店主は「もちろん、どうぞ。ご納得いただいたうえで、購入されたほうがよろしいでしょう」と言った。サナはゆっくりとオルゴールを回した。優しげで、楽しげなメロディが奏でられる。店主の言うように、確かにやや音が軋んで聞こえるが、気になるほどではない。サナは満足していたが、店主は何やら考え込んでいる。少しして、店主が「おかしいですね。仕掛けまで壊れてしまいましたか」と呟いた。

「仕掛け?」

 サナが聞き返すと、店主は「ええ、本当はメロディとともに、道化師が箱から出てくるはずなのですが……壊れてしまったのですね」と答えた。

 壊れていると聞いても、サナのこのオルゴールがほしいという気持ちは一向に薄れなかった。

「いくらですか」

「すっかり壊れてしまっているので、底に貼られているお値段から9割引いたします。ですが、お値引き品ですし、アンティークですので、返品・交換はお受けできません。予めご了承ください」

 ……。

 結局、サナは例のオルゴールを購入した。店を出るとき、店主がニヤリと笑った気がしたのは、おそらく気のせいだろう。

(ついに手に入れた)

 自宅に着いたサナは、嬉しくて仕方がなかった。ずっと欲しかったオルゴールが、ついに手に入った。どこへ飾ろう。

(そうだ、もう一回鳴らしてみよう。古いものだから、調子が悪いだけかも……)

 オルゴールを試しにもう一度鳴らしてみる。店で鳴らしたときと異なり、例のメロディの他に何やら機械部品が動いているような音がする。

(お。やっぱり調子の問題だったかも……)

 かしょん、という音がして、箱が開いた。しかし、店主が言っていた道化師は飛び出てこなかった。それどころか、箱の中を覗いてもそれらしきものは見当たらない。

(部品の欠品か……残念だけど、仕方ないや)

 その時、嫌な気配を感じて思わず振り返った。そこには、真っ赤な球体の鼻、顔を白く塗るおかしなメイク、独特な帽子と服……道化師が立っていた。街でこの道化師を見かけたら、「どこかでイベントでもやっているのかな」と思ったことだろう。しかし、ここは自宅で、サナしかいないはずだった。

(なに……こいつ……)

 突然のことで、叫ぶことも逃げることもできずにいるサナ。道化師はニコニコ笑いながら、サナの手にあったオルゴールを受け取り、そっと棚の上に置いた。そしてそれを指さした後、拍手をして、笑った。意味がわからない。

「あの……誰?」

 その言葉に道化師は気分を悪くしたらしい。先程までわざとらしすぎるほど笑っていたのに、急にわかりやすく怒った顔をした。

「キャッ、ちょっと……!」

 道化師はサナの服をブラジャーごと乱暴に捲し上げると、右の乳房の先端を口に含んで舌の上で転がし始めた。

「や……やめ……ッ」

 サナは力いっぱい道化師を突き飛ばした。吹っ飛んだ道化師は尻もちをつき、大げさに痛がって見せる。

「何……!? 何なの……?」

 玄関は道化師の背中側だ。この部屋はマンションの7階だし、窓から飛び降りるわけにもいかない。サナの背後にはベランダがあるが、この道化師に背を向けるのも恐ろしい。

 道化師は立ち上がると、バルーンアートを作り始めた。完成したが、なんの形かはわからない。失敗ではと思うが、何やら道化師は誇らしげだ。道化師がなんだかわからないバルーンを強く握ると、ギュギュッとゴムの擦れる音がして、破裂音とともに割れた。そしてまた、道化師は面白くてたまらないというように、前かがみになって時折膝を叩きながら笑う。

(わけがわからない……そうだ、スマホは……)

 道化師の方を見ると、まだ床に落ちたバルーンだったものを見て笑っている。これはチャンスかもしれない。音を立てないようにゆっくりとした動きで、バッグに近づく。静かに、なるべく静かにファスナーを開けて……。

(あった!)

 スマホを手に取り、ロックを外そうとするが、焦っているせいか上手くいかない。顔認証は失敗するし、暗証番号は打ち間違えるし……そもそも、緊急通報ならロックを解除する必要すらないのだが、ジリジリとしたこの空間ではそれに気が付けなかった。緊張感、恐怖、焦燥感、不安……どれのせいかははっきりとしないのだが、とにかくどれかのせいでサナの手は汗でびっしょりだった。そして最悪なことに、手汗のせいか手が滑り、スマホは床に落下した。

 落下音とともに、サナの心臓が跳ねる。今の音は、絶対に奴にも聞こえたはずだ。床に落ちたスマホから、ゆっくりと視線を上に……だが、道化師の姿はなかった。

(……消えた?)

 突然現れたのだから、突然消えてもおかしくはない。きっと、どこかに行ってくれたのだ。しかし、その淡い期待はすぐにかき消された。サナは背後から抱きしめられ、寝室にそのまま引きずるようにして連れて行かれた。その間、必死にもがいたが効果はなかった。

 あっという間にベッドに押し倒され、のしかかられてしまった。

「やめて! 今、やめてくれたら、誰にも言わない。帰ってくれたら、私もこのことを忘れるから……」

 道化師は首をゆっくりと傾げてから、ニターっと嫌な笑顔を見せた。そして、サナが下半身に身に着けていたものをすべて剥ぎ取ると、太ももの付け根の間に顔を埋めた。生暖かく湿った舌が、抉るようにそこに触れる。

「や……やだっ……」

 身を捩って逃れようとするが、道化師はしっかりとサナの両の太ももを掴んでいる。分厚くて長い舌が、中に入れられる。内側を味わうように舌が動かされると、このまま快感に身を任せてしまいたい……そんな考えが浮かんでしまった。

「ぁあ、はぁ……はぁっ……嫌あっ、ああ……」

 舌がゆっくりと抜かれた。ようやく終わったかと思われたが、今度はすっかりぷっくりとしている肉の芽を舐め始めた。根本から先端にかけて、小さなそれを丁寧に丁寧に舌で愛撫される。一通りそうした後は、先端をちろちろと執拗に舐められ……。

「そっ、それ……んっ、あっ、やめ……はぁっ……んっ、ん……っ」

 道化師は聞こえていないのか、聞こえていたとしてもお構いなしなのか。とにかく舌で舐め続けた。サナは小さな叫びをあげて、身体をぶるっと震わせた。頭の中が真っ白になる。ぼんやりとしながら、天井を見つめる。瞳が潤んでいるせいだろう、天井の照明の輪郭がぼやけている。

 まだ惚けているサナを満足そうな表情で見つめながら、道化師は自身を取り出す。すでに膨張しているそれをサナの中にゆっくりと挿入していく。

「ん゛っ……は……」

 しっかりと濡れたそこは、すんなりと異物を受け入れた。敏感になっているのだろうか。ヤツのモノの形がわかる。サナの内側が、待っていましたと言わんばかりに肉棒に絡みつく。道化師が動き始める。はじめから加減などするつもりはないようで、激しく速く動く。最奥まで突き上げ、半分ほど引き抜く。それを素早く繰り返す。

「は……はっ、ぉ゛お゛ッ、んっ……ん」

 道化師の動きがだんだんと速くなっていく。

「あん……ん~~! だ、駄目ッ! 中はあ゛ッ……ん゛っ……あ゛っ! ぁあああ……」

 道化師の身体が震え、中に熱いものが広がった。

 目が覚めると、道化師の姿は消えていた。まだ身体が重い。なんとか起き上がると、サナは例のオルゴールを鳴らしてみた。あのメロディのあと、カションと音がして蓋が開き、道化師の人形が飛び出した。あいつと無関係とは思えない。だが、オルゴールを壊そうだとか、捨ててしまおうという気は起きなかった。

(そもそも、あれは夢だったかもしれない……)

 サナの太ももを、白濁とした液体が伝っていた。

 くけこさしすせ様のリクエスト作品です。リクエストありがとうございました!