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白の日(NL)

 サナとミライは彼の部屋で勉強をしていた時、ミライがふと呟いた。

「はぁ~ホワイトデー、面倒くさいなぁ」

 サナの幼なじみのミライはモテる。バレンタインデーには女性から、たくさんのチョコレートを受け取っていた。……そして、そのすべてを捨てていた。

「ちゃんとお返ししなよ」

「えー? 食べてもないのに? 名前も知らないヤツが作ったチョコなんて気持ち悪くない?」

(それはそうかもしれないけれど……)

 バレンタインデーの頃には、必ずと言って良いほどSNSで手作りチョコに髪の毛だの血だのを混ぜるという投稿を見かける。恋のおまじないというよりはほとんど呪いだ。冗談なのか本気なのか分からないところが恐ろしい。

「とにかく、お返しは大事! 可哀想でしょう?」

「可哀想なのは俺だろ? どこの誰かも知らないヤツに好かれたってキモいだけだって」

「酷すぎる……」

「あ、俺の精液をぶっかけてやるのはどう? ホワイトデーだよ~って」

「最低……」

 ルックスは良いというのに、発言や思考があまりにも残念だ。

「そういやサナ、今年はくれなかったね」

 確かに、毎年手作りチョコレートを渡していた。義理チョコとしてだが。

「面倒だから今年は作らなかった」

 サナは嘘を吐いた。本当は作っていたが、渡そうとしたとき、ミライはどこからか手に入れた大きな紙袋をチョコでいっぱいにしていた。そんな彼を見たら、気が引けてしまった。最近はこの最低な幼なじみへの恋心に気がついてしまったこともあり、これまでどんな風に渡していたかも分からなくなってしまった。

「嘘だね。作ってたじゃん。冷蔵庫に入ってるの見たもん」

「人の家の冷蔵庫を勝手に開けないでよ!」

「何を今更……で? 誰に渡したんだよ」

 誰にも渡していない。昼休みに自分で食べてしまった。店を持てるのではないかと思えるくらいの素晴らしい出来だった。

「誰でもいいでしょう」

「じゃあヒントは? 俺の知ってる人?」

「そうかもね」

「サガワ? ムラシタ? あ、ナカムラ?」

「……あんたはホワイトデーのお返しの心配でもしなよ」

「えー? それなら大丈夫だよ。さっき言ったとおり、ぶっかけがお返しだから」

「やめなよ……」

 本当に最低だ。それなのに、ぶっかけてもらえる子たちが羨ましいと思えるくらいには、ミライのことが好きなのも悔しい。

「で、誰?」

 どうしても聞き出すつもりらしかった。適当な名前を挙げても良かったが、ミライにあること無いこと言いふらされるのも困る。

「言ってもわかんないよ。ミライの知らない人だもん」

「ふーん、どんな奴?」

「優しい人だよ。優しくて格好いい、一緒に居ると楽しい人」

「俺より?」

「うん……」

 ミライはシャーペンを持ち直すと、再び課題を始めた。

「男っ気ないと思ってたけど、安心したよ。俺より優しくて格好いい、一緒に居ると楽しい人ねぇ……」

 ◆ ◆ ◆

 次の日教室に入ると、ランが興奮状態で話しかけてきた。

「ついにミライくんと付き合い始めたんだって!?」

「……はぁ?」

 サナは首をかしげた。何を言っているのか本当に分からない。それなのに、ランは人の話も聞かずに「またまた~」と言いながら、背中をバンバン叩いてくる。

「いた……痛いって! 本当に何のこと?」

「照れちゃって~。もうみんな知ってるよ。朝からミライくんがみんなに教えてくれてさ~。それもさり気なく。いやぁ、格好いいね。ホワイトデーは楽しみだねぇ、よかったね、サナ!」

(あの野郎……)

 ◆ ◆ ◆

 家に帰り荷物を置くと、そのまま隣のミライの家に向かった。

「どういうつもり!?」

「何のこと~?」

 ベッドに仰向けになってスマホを弄っているミライが暢気な声で聞き返す。その様子を見たサナはさらに腹が立った。

「付き合ってるとか! どうしてそんなつまんない嘘吐くかなぁ。今日、ほんっっっとにめんどくさかったよ。否定しても誰も信じてくれないし」

「最初につまんない嘘吐いたのはお前じゃん」

 スマホを置いたミライが身体を起こし、ベッドに腰掛けたままこちらを睨んでくる。

「は?」

「作ったチョコは自分で食っただろ? それに俺の知らない、俺より優しくて格好いい、一緒に居ると楽しい人なんて居ないじゃん」

「い、居るかもしれないじゃん。なんで決めつけるの?」

「自分じゃ気がついていないようだけど、サナちゃんには嘘吐くときの癖があるからね。嘘だってすぐ分かるよ。それに、俺より優しくて格好いいヤツなんかいない」

「……自分で〝俺より優しくて格好いいヤツなんていない〟って言って恥ずかしくないの?」

「全然」

 サナはため息を吐いた。

「確かに、嘘を吐いたのは悪かったよ。チョコのこととか……ミライ、いっぱいもらってるんだもん。渡しにくくて」

「素直でよろしい。で、どうする? もっと素直になればホワイトデーのお返し、あげるよ」

「私あげてないし、第一あんたのお返しはぶっかけでしょ!? いらないよ!」

 ミライが笑う。

「本当に? 教えてあげようか? 俺がお返しはぶっかけにしてあげようかなって言ったときのサナの表情」

 ◆ ◆ ◆

 結局、ミライの誘惑に勝てなかったサナは、ベッドに腰かけた彼の隣に座り、熱いものを咥えていた。

「超気持ちいい……これならすぐお返しあげれそう」

(暢気なヤツ。こっちは顎が外れそうだっていうのに……)

「よくわかんないけど、上手い気がするよ」

 微妙な褒め言葉にサナは咥えたまま笑いそうになってしまった。ミライらしいと言えばミライらしい感想だ。

「ねぇ、どこにしよっか。定番の顔? でも胸もいいと思う。あ、お腹もいいよね……」

「……」

 サナが咥えたまま返答しないで居ると、ミライが彼女の頭を軽く持ち上げて自身から遠ざけた。

「どこがいい?」

「どこでもいいよ」

「じゃあ、口開けて」

「こう?」

「目、瞑って」

 ミライが自身をしごき始め、少しするとサナの顔や口に温かな液体がかかった。口の中に広がる苦みはなんとも言えない幸福感をもたらした。サナは無意識に唇の端についた液体を舌で舐めた。

 ◆ ◆ ◆

 それから、サナとミライは色々な場所で、様々な方法で愛し合った。お互いの自室、教室――。そして今日は、体育館倉庫のマットの上で……。

「マットって思ったより寝心地良いよね」

 サナの胸を揉んでいたミライが「集中してよ」と少し怒ったように言う。サナは謝ると、目を閉じて言われたとおり集中することにした。

 ミライは柔らかな胸に丁寧な愛撫を続ける。サナが声を漏らせば、彼は満足そうに笑う。サナの胸の頂はすっかり硬くなっているが、ミライはそれをわざと避けて愛撫をする。頼まなければ、このまま触ってもらえない。そういう男なのだ。

「触って……ぁあッ!」

 サナの意に反して、ミライは下着の上から彼女の肉芽に触れた。そのまま指の腹で擦られる。

「あれ? ここじゃなかった?」

 ミライはサナのショーツを脱がすと、愛液のせいで鈍く光る蜜壺に右手の中指を挿れた。

「んッ、あ……ぁあ――」

 中指の腹が、サナの愛液で濡れた柔らかな壁を擦る。

「やばい、感じすぎ。さすがにマット汚れる」

 そう言ってミライは笑いながら指を抜いた。

「そんなの……後で拭けば良いじゃん。やめないでよ」

「ダメダメ、絶対染みこむ」

(染みこむってなんか酷いな……)

「そんな顔すんなって。ほら、こっちでやろう」

 そう言ってミライが指さしたのは跳び箱だった。サナは跳び箱に手をついて尻を突き出した。

「早く挿れてよ」

「わかった、わかった」

 硬い肉棒が押しつけられ、そのままずぶずぶと入っていく。熱くて硬いそれは、柔らかい肉の感触を楽しんでいるようだった。動かされるたびに、息が荒くなる。

「ぁあ……はぁ……」

 快感のせいで立っているのがやっとだ。サナは跳び箱にしがみついた。ミライに腰を掴まれ、良いところを突き上げ続けられる。

「ん……ふ、ぁあっ」

 もう誰も残っていないと思うが、念のために声は抑える。それが気に入らないのか、ミライの動きの激しさは増すばかりだ。サナは手で口を覆いながら、耐える。声を出さないように、感じすぎてしまわないように。いつもミライに主導権を握られている。嫌では無かったが、たまにはやり返したい。

 サナの足はガクガクと震え、愛液は床にぽたぽたと垂れるほど。何度も何度も、静かに絶頂を迎える。

 しばらく突き続けた後、何の予告も無くミライは肉棒を引き抜いた。そして、熱い精液をサナの臀部にかけた。