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バーの女(GL)

 5年間交際をした彼氏にフラレたサナは、バーで酒をしこたま飲んでいた。

 彼氏はサナと別れてすぐ、別の女と結婚した。何年も前から、二股をかけられていたらしい。彼氏にとってはサナが浮気相手で、結婚した方の女が本命だったらしかった。本命の方に子どもができ、単なる浮気相手であるサナはあっさりと捨てられた。

 サナにはもう、彼氏の家に乗り込む気力も残っていなかった。ただ悲しく、男はもう懲り懲りだった。

「マスター、おかわりちょうだい」

「その辺にしておきませんと」

 マスターは微笑むだけで、酒を出そうとしない。注文を受け付けないつりらしい。

「マスターがお酒を出してくれないなんて、随分飲んだのね。どうしたの? 嫌なことでもあった?」

 隣に座っていた艶めかしい女が、サナに声をかけてきた。女は足を組んでいた足を組み替えた。短いスカートから覗く白い脚。サナは生唾を飲み込んだ。

「別に。男にフラレただけ」

「そう。それはつらいわね」

「あんたにわかるわけないでしょ? あんたみたいなエロい女にはわからない。あんたみたいな女だったら、男が手放さないもの」

 隣の女は「あら、嬉しいことを言ってくれるのね」と微笑んだ。

「もし……あなたさえ良ければ、このあと……どう?」

 隣の女がサナの手に手を重ねて、甘く囁く。

「私、寂しいのよ。それに、あなたのことを気に入っちゃった。今夜だけ付き合ってもらえないかしら?」

「あんたと寝る……って?」

「そうよ。あなたが望むなら、その先も」

「本気? 女同士じゃん」

「それがどうかした?」

 女は微笑む。サナは少し悩んでから、女とホテルへ行くことにした。道中、女はリカと名乗った。それが本名なのか分からなかったが、一夜限りの相手なのだから偽名だったとしても、大した問題ではない。

 ホテルに着き、部屋に入るなり、リカは慣れた様子でバスルームへ向かった。バスタブを軽く水で流し、湯をはる。

「あ、入浴剤があるわ。どっちにする?」

 バスルームから戻ってきたリカの手には2つの入浴剤が会った。片方にはバラの香りと書いてあり、もう片方にはバブルバスと書いてあった。

「泡風呂で」

「わかった。あなたはゆっくりしてて」

 リカは、湯が溜まりつつあるバスタブへ入浴剤を入れに、バスルームに戻った。サナはその間に、服を脱いで裸になり、リカを追ってバスルームへと向かった。

 バスルームには、すでに一糸まとわぬ姿のリカがいた。彼女の肢体は美しく、まるで美術館に展示されている彫像のようだった。ラブホテルの、バスタブが大きいばかりの安っぽいバスルームは、リカには不釣り合いに見えた。

「お湯はもう少しで溜まるわ。待ってる間、体を洗いっこしない?」

「洗いっこ?」

「ええ。私の体を洗って。そのあと、あなたの体を洗ってあげる」

 リカはそう言いながら、バスタブのへりに腰掛けた。サナはリカの後ろに立つと、泡立てたボディーソープで体を洗ってやった。リカは心地よさそうに目を閉じ、サナが洗う箇所を変えるたびに、敏感に体を震わせた。

「気持ちいいわ……」

 リカは本当に気持ちよさそうにつぶやいた。その姿に興奮し、サナのあそこから愛液がつーっと太ももを伝って地面に向かって垂れていく。

「女とするのは初めて?」

 リカの問いかけに、サナは「もちろん」と答えた。

「わたしもよ」

 リカはそう言うと、突然振り向いて立ち上がった。サナは驚いたが、彼女はすでにサナの唇を奪い、キスをしていた。舌と舌が絡み合う。息が続かなくなり、サナは唇を離そうとしたが、リカがそれを許さなかった。口づけは深く、呼吸を奪い合う荒々しさがありながらも、優しく、心地よかった。サナは快感に身を任せた。何も考えられない。

「ん……、ふ、ぁん……」

 唇が離される頃には、蛇口から勢いよく出るお湯のおかげで、バスタブはお湯と泡で満たされていた。リカが蛇口の栓を閉めてお湯を止めた。

「今度は私が洗ってあげる」

「わかった。お手柔らかにね。初めてなんだから」

 サナは冗談を言いながら、バスタブのヘリに腰掛けた。リカはボディーソープを泡立てると、「目を閉じて。集中するのよ」そう言って、サナの体を洗い始めた。サナは言われた通り、軽く目を閉じる。

「リカは……男にフラレたことないの?」

「あるわよ。何回もね」

 リカはサナの乳房を揉みしだきながら答えた。泡がサナの胸に広がっていく。リカの手の動きに合わせて、サナは自然と身体を動かしていた。快感から少しでも逃れるためでもあったが、同時に乳首に刺激を与えたかったからでもあった。目を閉じているせいか、感覚が研ぎ澄まされ、いつもより感じてしまう。

「でも今は、興味があるのは男じゃなくて女で……あなたよ」

 リカが泡だらけの手でサナの頬を撫でた。サナはゾクゾクとしながら、「……もっと気持ちよくして」と、そうつぶやいて目を開いた。リカと目が合う。リカは「もちろん」と言って微笑んだ。彼女はボディーソープを自分の胸にさらにつけると、それをサナの胸に押し当てた。肌と肌が触れ合う気持ちよさに、サナは喘ぎ声を漏らした。

「あ……あんっ、はあぁ……」

「気持ちいいでしょ?」

「う、うん。気持ち……いい」

 リカは胸と胸を合わせたまま、サナの乳首に指で触れた。サナは快感に打ち震えた。

「あ……っ、はぁん……んっ」

 快感に酔いしれていると、リカが「流しましょうか」と唐突にシャワーを手に取った。二人の身体から泡が洗い流されてゆく。すべて流し終えると、二人は手を繋いでバスタブに入り、腰をおろした。

「いい気持ちね」

「ええ……」

 二人は見つめ合った。どちらともなく、唇を近づける。そして、再びキスをする。

「今度は、わたしがあなたを気持ちよくする」

 サナの言葉に、リカは「お願い」と素直にうなずいた。サナはリカの胸を揉みながら、その先端を口に含んだ。すると、リカが声を漏らした。

「気持ちいい?」

「ええ。とても……」

 サナは愛撫を続けた。

「ぁあ、は……ん」

 リカは喘ぎ声を上げながら、サナにしがみつく。

「べ、ベッドに行きましょう。もっと激しく……あなたがほしいの、サナ」

「ベッドに行ったら、朝まで寝かせてあげないけど、いいの?」

 リカは頷いた。

 サナはリカの手を引き、バスタブを出た。二人はバスタオルで体を拭きあってから、裸のままでベッドへ向かった。

 サナはリカをベッドに押し倒し、軽いキスをしたあと、リカの股を開き、身体を拭いたあとだというのにまだ濡れている場所を舐め始めた。

「あぁ……っ」

 固くなっている肉芽を舐めてやると、リカが身体を弓なりにそらした。

「はぁん! ああぁんっ」

「ん……」

 サナの舌使いに、リカが快感の声を上げ続ける。

「あぁ……あ、いぃ……。あぁああっ」

 やがて、リカが絶頂を迎えた。彼女は荒い息を整えながら、潤んだ瞳でサナを見つめていた。そして手を伸ばし、サナのあそこに触れた。そこはすでに愛液でぐちょぐちょだった。

「あなたも気持ちよくなって」

 そう言って微笑むと、リカは起き上がった。そして「今度はあなたが下になるのよ」と言った。サナは頷き、ベッドに横になった。リカがサナの恥ずかしいところに舌で触れる。

「ぁあん! ふわぁ……っ」

 あまりの気持ちよさに、サナは喘いだ。サナの反応に満足げな微笑みを浮かべたリカは、なおも愛撫を続けた。やがて、彼女はサナから口を離し、上体を起こすと自分の指を舐めたあと、それをサナの蜜壺に挿入した。ぐちょぐちょという水気を含んだ音が響く中、「はああんっ」とサナは喘いだ。

「気持ち……いい?」

 リカがサナの中を指でかき回しながら聞いた。サナは、「も、もっと激しく……!」と答える。リカは指の動きを早める。快感が増していくにつれて、サナの声は大きくなり、やがて絶頂に達した。サナは大きくのけぞり、シーツを握りしめながら身体を震わせる。しばらくしてから脱力し、ベッドに倒れた。

「気持ちよさそうだったわね。でも、もっとしたいでしょう?」

 リカはサナの上にまたがり、自分の秘所をサナの秘所に押し当てた。

「一緒にイキましょ?」

 リカはそう言って、腰を前後に動かした。サナはリカの激しい動きに快さを感じながら、手を伸ばしてリカの胸に触れた。彼女の胸は柔らかく、まるで手に吸い付いてくるようで、とてもさわり心地がよかった。サナはリカの胸を揉みながら、もう一方の手で彼女の乳首をいじった。

「ぁあん! ああぁっ」

「ぁあん! あっ、あぁああんっ!」

 リカは快感を求めて、さらに動きを速めた。サナも動きに合わせるように腰を動かす。やがて、獣のような声をあげながら二人は絶頂を迎えた。

「はぁ……はぁ……」

 肩で息をしながら、サナはリカを見つめた。彼女の額には汗が浮かび上がり、それが頬を伝っていた。リカは汗ばんだ髪を耳にかけながら微笑んでいる。その微笑みがなんとも色っぽかった。

 サナは手を伸ばし「リカ……」と彼女の名を呼んだ。リカがその手を取り、指にキスをした。

「サナ。私はあなたを愛してるわ」

「今日あったばかりなのに?」

「そんな顔しないで。私も変なことを言っているのはわかっているんだから」

 リカが照れくさそうに微笑むと、サナは微笑みを返した。二人は抱きしめ合い、何度もキスをした。それから再び体を重ねた。何度も何度も……。

 翌朝、サナはベッドの上で目を覚ました。隣を見ると、裸のリカがまだ眠っていた。その顔を見ていると、昨日の情事が思い出され、下腹部がきゅんと切なくなる。

 サナは眠っているリカの頭をそっと撫でた。