サナの母は、貴族の中でもとびきり大金持ちの男と再婚した。母と姉とともに新しい父の屋敷に行ったときは、本当に驚いた。自分たちもけして貧しい暮らしをしていたわけでは無かったが、あの屋敷に比べれば、元いた家が犬小屋のように思えた。新しい父には一人娘が居て、町でも評判の美しい娘だった。豪華な屋敷に贅沢な暮らし、そしてあの美貌。サナは義妹のことが羨ましくて仕方が無かった。
あの屋敷で暮らし始めると決まった直後、新しい父は事故で亡くなってしまった。家族らしいことは何一つできなかった。しかし、母は「あの屋敷にあの子一人じゃ大変でしょう。それに、私はあの人の妻なんだから」と、予定通り屋敷に移り住む手続きを進めた。移り住んだ後は、酷いものだった。サナの母と姉は、義妹をいじめ抜いた。母も姉も、サナと同じように義妹に劣等感を抱いていたに違いなかった。
「シンデレラ! まだ掃除を終えていないのかい」
母の怒鳴り声が屋敷中に響き渡る。城のように広い屋敷だというのに、母は「金の無駄だから」と使用人をみんな辞めさせてしまった。〝シンデレラ(灰被り)〟なんて、彼女の名前では無いだろう。母が勝手に呼んでいるだけだ。
「もうすぐ終わります。お母様」
かわいそうなシンデレラを見ているのは辛かった。かといって、あの恐ろしい母と姉から守ってやることもできない。あの二人は、気に食わない相手ならば相手が誰であろうと、酷い目に遭わせるか殺すかしてしまうような人間なのだ。サナの本当の父親も、金遣いの荒さを注意したせいで、あの二人に殺されてしまった。もちろん、事故として処理されたが。サナはこっそり家を抜け出すと、カボチャ畑へ向かった。
カボチャ畑の横の小さな家に魔法使いが住んでいることは、町中の人が知っていた。ノックをして、「お願いしたいことがあるんです」とサナは叫んだ。すると、家の中から枯れ木のような老婆が出てきて、サナを家の中に招待してくれた。家の中は、見た目よりもずっと広かった。きっと、魔法の家なのだろう。
「それで? お願いって?」
「家に、血の繋がらない妹がいるのです。彼女は毎日、私の母と姉にいじめ抜かれているのです。なんとか助けてあげられないでしょうか」
「具体的にはどうしてほしいんだね。実の母と姉を殺してほしいのかい」
「それは……」
さすがにそんなことは頼めない。確かに、恐ろしく憎い二人だが、家族だ。
「魔法で二人を改心させられないでしょうか」
「無理だね。悪人を改心させるなんて。それは許されていない」
「じゃあ、次来るまでに、願いを考えておきます」
「まあ、好きにしな。ただし、先払いだ」
魔法使いは、生娘の愛液がどうしても必要なのだという。そして、それを今提供してくれるのであれば、悪人を改心させること以外なら、どんな願いでも叶えてくれるという。サナは魔法使いの言うとおりに下着を脱ぐと、スカートを捲し上げた。
「どうすれば、その……愛液は出せますか?」
「これだから生娘は……」
そう言うと、魔法使いは戸棚から瓶を取り出すと、瓶の中身をサナに向かって投げた。赤いゼリーのような生き物が、サナの秘部にくっついた。ぬめりとした体が、肉芽を擦る。
「あ。ああっ、ま……魔法使いさ、ん……これ、はっ……」
ゼリーはぷるぷると体を震わせる。サナの足がわずかに震えだした。倒れ込んではいけないと、サナはそばにあった椅子の背にしがみついた。
「おお、いいね。出てきた出てきた」
魔法使いが空っぽの瓶をサナの秘部にあてがう。そして、彼女から流れ出る愛液を採取した。
屋敷に帰ってからも、体のほてりが収まらなかった。ぼうっとする頭で、あれは何だったのだろうと考える。きっと、いけないことだったに違いない。母や姉に気軽に聞けるようなことでは無いだろう。あれだけの辱めに耐えたのだから、魔法使いにはきっちり願いを叶えてもらわねばならない。
願い事は何が良いだろう。その日は結局願い事を決められないまま、眠りについた。
「サナお姉様」
サナはシンデレラの声で目が覚めた。目を開けると、シンデレラが嬉しそうにこちらを見ている。サイドテーブルに置かれた時計を見ようとしたが、部屋が真っ暗なせいで時計の針がほとんど見えない。
「今何時……?」
「そんなことはどうでもいいのよ」
「私、すごく眠いわ。明日の朝じゃダメかしら」
「明日の朝はダメよ。あなたのお母様とお姉様に朝からこき使われるのだから、話す時間なんて無いわ」
「そう、そうね……。いつもごめんなさい」
「……。私、サナお姉様のことは好きよ。優しいから」
サナは目を瞑ると「優しくないわ。あなたを守れていないもの」と呟いた。
「それでもいいのよ。好きだから」
「私もあなたのことが好きよ、シンデレラ……本当は、なんていう名前なの?」
「エイラよ」
サナは目を開くと、ゆっくりと体を起こした。だんだん頭がしっかりしてきた。義妹がこんな時間に訪ねてきて、こんなことを言うのは何かあるのかもしれないと不安になってきた。
「サナお姉様、初めて会ったときのこと、覚えている? あなたは、私に〝かわいい〟って言ったのよ。〝お姫様みたい〟って。そんな風に褒めてもらったのは、初めてだったの。すっごく嬉しかったのよ。あの日だけで、サナお姉様のことが大好きになった」
「エイラ。あなたほどの器量よしなら、しょっちゅう〝かわいい〟とか〝お姫様みたいだ〟って言われるでしょう。大げさよ」
エイラは吐き捨てるように「男からはね」と言った。
「ねえ、エイラ。どうしたの? 私、なんだかすごく……心配なのよ」
家出や自殺を考えているのでは無いかと勘ぐってしまう。あれだけ毎日いじめられていれば、希死念慮を抱いてもおかしくはない。
「私、今日サナお姉様が魔法使いの家に入っていくのを見たわ」
エイラがサナをベットに押し倒した。スプリングが軋み、耳障りな音を立てる。
「サナお姉様、魔法使いの家に何をしに行ったの?」
「別に……ただの挨拶よ」
「挨拶でスカートを捲し上げるのね。私の時はしてくれなかった」
そう言いながら、エイラがサナのネグリジェの裾を捲し上げていく。下着はおろか、白い腹部まで丸見えだ。
「エ、エイラ、やめて」
「じゃあ、本当のことを言って」
「お母様とお姉様のことで相談に行ったの」
エイラの目が輝く。「サナお姉様、愛している!」と叫んだかと思うと、抱きついてきた。むき出しの腹や脚に彼女のネグリジェが触れて、くすぐったい。
「エイラ、声が大きいわ。お母様たちが起きちゃう」
「殺してくれるよね。そうよね。ああ、サナお姉様……。これからは二人っきりなのね」
「それは、まだ迷っていて……」
エイラはサナの下着をずらし、潤んだ恥部を露わにさせると、蜜壺に指を入れた。
「どうして迷うの? 殺してよ……私のために」
「ぁ……、エイ、ラ……」
「ね?」
従うしか無い。エイラの表情は、それだけ鬼気迫るものがあった。
「わかった。明日、魔法使いに会いに行ってくる」
エイラは満足そうに微笑んだ。蜜壺に入れたままの指の動きを早める。サナの身体がわずかに震えている。大きい声を出してしまわないよう、サナは自分の口を手で覆った。
「そんなことしなくて良いのに。二人が起きるくらい大きな声を出しても良いのに」
サナは首をぶんぶんと横に振った。エイラは意地悪そうに微笑みながら、指の腹で肉壁を撫で続ける。快感が引くことの無い波のように何度も何度も……。
サナは叫びをぐっと押さえたまま、達した。エイラにバレていないか、ぎゅっとつぶった目を少しだけ開く。エイラは幸せそうに笑っていた。
そして、顔を近づけると、エイラは耳元で「二人っきりになったら、もっとすごいことしてあげる」と囁いた。