エイヴリル様は、みんなの憧れの的だ。公爵令嬢にして才色兼備の彼女は、学園のマドンナ的存在。私も、少なからず彼女に憧れを抱いている。彼女のようになれたら……少なくとも、彼女と友達になれたなら、どんなにいいだろう。
だから、彼女が一人で廊下に蹲っているのを見つけたとき、チャンスだと思った。私は、迷いなくエイヴリル様に声をかけていた。
「エイヴリル様?」
エイヴリル様はゆっくりと振り向いた。その可愛らしいお顔は真っ赤だった。目も若干潤んでいる。もしかして、泣いていたのだろうか。私は慌ててポケットを探った。ハンカチを見つけると、彼女に差し出した。エイヴリル様は受け取ろうとはせず、静かに首を横に振った。
「いえ、泣いていたわけではないから。その、大丈夫。もう行って。あと……わたくしがここに居たことは誰にも言わないで」
「でも……エイヴリル様のことが心配なんです」
エイヴリル様は「同い年なのに敬語、それにわたくしを様付で呼ぶなんて」と笑い出した。彼女の笑った顔を間近で見るのは初めてだった。そもそも、話すのも初めてだ。彼女が私を同い年だと知っていてくれただけで、嬉しくてたまらなかった。
「エイヴリルで構わないわ」
「恐れ多いです。もし……具合が悪いなら、保健室に行った方がいいと思います」
「ろくに話したこともないわたくしのことを、ずいぶん心配してくれるのね。お人好しなあなたに、ひとつ頼んでもいいかしら」
「なんでもおっしゃってください」
エイヴリル様の頼みなら、何でも聞いてあげたい。彼女は微笑みを浮かべたまま、立ち上がった。スカートが不自然に盛り上がっている。
「スカートの下に何か入れているんですか?」
「さあ。私の頼みを聞いてくれたら、教えてあげる」
エイヴリル様の頼み事とは、彼女の自室まで、すぐ前を歩くことだった。彼女は私の肩に掴まり、例のスカートのふくらみを隠すように私の背中に身体を押し付けてきた。ふくらみのところが私のお尻に当たったまま、私たちは歩き始めた。私のお尻に当たった部分は、やけに熱い。スカートの中に生き物でも隠しているのかもしれない。もしかすると、子猫かも。
「あら、エイヴリル、その子は?」
向かいから、よくエイヴリル様と一緒にいる子たちが歩いてきた。
「彼女はサナ・ウルシマよ。ほら、わかるでしょう? わたくしたち、これから……二人きりになりたいの」
「ああ、新しい彼女ね。邪魔してごめんなさい」
エイヴリル様の吐息が首筋や耳に当たる。私なんかを〝新しい彼女〟と誤解されても、エイヴリル様は構わないのだろうか。後日、「あの子は遊びだった。つまらない子だった」と言えばいいだけなのかもしれないが。そんなことを考えていると、いつの間にかエイヴリル様の部屋の前まで来ていた。彼女が体を離す。
「ありがとう。助かったわ」
エイヴリル様のスカートは相変わらず膨らんだままだ。
「はい、私はこれで……」
「あら、見て行かないの? わたくしのスカートの下にあるもの」
ごくりと生唾を飲み込む。エイヴリル様は部屋のドアを開けると、「中で見せるわ」と言い、私に入室を促した。断る理由はなかった。
部屋に入ると、エイヴリル様が扉に鍵をかけた。
「はじめに言っておくわね。これを見て、学園を去ったものもいるし、わたくしに消されたものもいるわ」
「そ、それは……私も同じ道をたどると言うことでしょうか?」
学園を去れば、ウルシマ家は跡取りを失う。消されるのはもっとごめんだ。エイヴリル様のスカートの下のものは気になるが、そこまでの危険を冒さなくてはいけないのなら、知らないままで一向にかまわない。
そんな私の気持ちを知ってか知らずか、エイヴリル様はニヤニヤしながら「それはあなた次第」と囁いた。
「じゃ、じゃあ……見せて頂かなくて大丈夫です。私、帰ります」
「それはダメ。わたくし、もうあなたに見せたくて仕方がないもの」
エイヴリル様がスカートを捲し上げていく。見るべきではない。だが、目を逸らすことができなかった。エイヴリル様のおみ足が美しすぎたせいでもあるし、やはり私はスカートの下のものが気になっていたようだ。
「そ、それは……」
エイヴリル様の太腿の間からは、膨張した立派な男根が生えていた。男根は彼女のレースのショーツを限界まで引き延ばしていた。今にも男根のせいでショーツが張り裂けそうだ。
「フタの末裔って聞いたことある? わたくしもそうなのよ」
昔、この地上で繁栄を極めていたと言うフタの一族……。彼女たちには立派な男根が備わっていたと言う。フタの一族は歴史上から突如姿を消したが、現在もその血を引き継ぐものたちは少なくなく、その中には言い伝え通りのフタ族の姿で生まれてくると言う。まさか、エイヴリル様がそうだったとは……。
「聞いたこと、あります」
「あなたが逃げようとしたり、叫んだりしなくてよかったわ」
逃げようとしたり叫んでいたら、消されていたのか。
「廊下でいきなり大きくなっちゃって、困っていたのよ。本当に助かったわ。公爵家にフタの血が混ざっていることがバレると、まずいのよ。だから、誰にも言わないでね」
「だ、誰にも言いません」
「本当にお人好しね。お人好しなあなたにもう一つ頼みごとをしても良い?」
「なんでもおっしゃってください」
「これを落ち着かせてくれない?」
私は目をぱちくりさせた。「一体どうやって?」と思わずつぶやく。
「うぶなのね。触ってくれればいいのよ」
それくらいなら、私にもできそうだ。私はエイヴリル様の足元に膝をつけると、恐る恐る男根に触れた。教科書で見たそれよりも大きく見える。熱っぽく、とても硬い。両手で包み込むように触れると、エイヴリル様が吐息を漏らした。
「良いわ、続けて」
一生懸命、私は男根を撫でまわした。ふとエイヴリル様の顔を見上げると、彼女は蕩けたような表情を浮かべていた。息を荒くしながら「座ってもいいかしら」とベットの方を見ながらエイヴリル様は言った。私は手を止めずに「どうぞ」と答えたが、エイヴリル様に手を止められてしまった。
「あなたに挿れたいわ」
挿れる? まさかこれを? いったい、私のどこに? まさか、私のあそこに? 私は驚きのあまり、彼女に良いとも悪いとも答えられなかった。エイヴリル様はそれを了承と捉えたらしく、私をすばやくベットの上に押し倒した。
エイヴリル様が私のスカートの中に手を入れる。そして、私の……。
「っ!」
「嘘、嬉しいわ。わたくしのを触っているだけで、こんなにも濡れてしまったのね」
「ぬ、濡れ……?」
エイヴリル様がスカートの中から手を引き抜く。そして、私の目の前で指を動かせて見せた。彼女の指と指の間に銀色の糸がいくつもかけられているように見えた。
エイヴリル様は私のショーツを脱がすと、「もう挿れてもよさそうだわ」と呟き、例のあれを私の秘所に押し当てた。
「は、入りません……! 絶対、無理、です!」
「ごめんなさい、もうやめてあげられないわ」
エイヴリル様がぐっと体重をかける。私の肉体を切り裂くように、彼女の肉棒が入ってくる。
「いた……痛いっ! いやぁっ!」
エイヴリル様のためなら、何だってしてあげたかった。でも、これはあまりにも痛すぎる……。痛みに抗おうとする身体は、変なところに力が入り、今にもあちこち攣りそうだ。
「ああ……最高。ほら、力を抜いて。ゆっくり息をするの」
私はエイヴリル様の言葉に従い、なるべくゆっくり呼吸をした。少しだけ、楽になったような気がする。いや、やはり痛いものは痛い。肉や皮膚は限界まで引き延ばされ、内臓が押しつぶされている、そんな感覚だ。
「そんな顔しないの。少しすれば、良くなるわ。ほら、わたくしの声だけに集中して」
目を閉じ、ゆっくりと深呼吸を数回した。目を閉じると、視覚以外の感覚が少しだけ鋭くなるようだった。自分の心音、エイヴリル様の息遣い、彼女の体温、ベットの柔らかさ……。痛み以外の感覚なら、何でもよかった。とにかく痛み以外に集中する。
「素直ね。目を閉じているあなたも、すごく可愛いわ」
可愛いだなんて言われたのは、どれくらいぶりだろう。そんなことを言われたのは、子供のときくらいだ。エイヴリル様は、どんな表情で私に可愛いと言ってくれたのだろう。ゆっくりと目を開く。笑顔の彼女は、私のことを愛おしそうに見下ろしていた。次の瞬間、目の前が真っ暗になった。
「エ、エイヴリル様……?」
彼女が私の目を手で覆ったらしかった。エイヴリル様は私の耳に唇をつけて「急に顔を見るのは反則よ」と囁いた。
「すみませ……んッ!」
急にエイヴリル様が腰を動かし始めた。痛かったはずの下腹部から快感が走る。
「何? もう感じるようになったの?」
「わ、わかりませ……んぁッ!」
手で目を覆われているせいで、エイヴリル様の表情は確認できないが、すごく意地悪そうな顔をしているに違いない。あんな大きなものが私の中で動いている。内側を激しく擦られ、一番奥を何度も突き上げられる。
「あ、ああ……あっ、エイ、ヴリル様……ああ、ん……」
「好きなだけ声をあげていいのよ。わたくしの部屋は他の部屋とは違うから」
さすが公爵令嬢。その言葉を皮切りに、無意識のうちに抑えていた声が、どんどん大きくなる。いつの間にかあのサイズがすっぽり入るようになったらしく、私と彼女の体がぶつかる音がし始めた。
「ひゃ……ん、ああっ! あ、ん……ぁあっあっ、ん……」
「気持ちいい?」
「き、きもち……んぁああっ! あっ、い……」
「何て言ったのかしら?」
エイヴリル様の腰の動きがどんどん早くなる。これまで感じたことのない快感が全身を駆け巡り、私は思わず叫び声をあげた。蜜壺が、自分の意思に反して彼女の肉棒を締め上げた。
「こ、こら……出ちゃ……」
肉棒がびくびくと震え、熱いものが蜜壺の中に広がった。
「あ、あ……エイヴリル様……」
「新しい彼女として、最高だわ、あなた」
私はとても幸せだった。卒業後、エイヴリル様がすぐに男性器を切除し、王族の子息と結婚するまで。