「やっぱりだめだ」
ギルドの男は電話の受話器を置くと、落ち着かない様子で、何やら考え込みながらその場をぐるぐる歩き回った。そこへたまたま通りがかったサナは、「どうしたの?」と彼に尋ねた。
「■■■■に派遣した連中と連絡が取れなくなったんだ」
■■■■はサナの生まれ故郷だ。山奥にあって、かつて鉱山によって栄えた街。鉱脈が枯れ、鉱山も閉鎖された今となっては、昔からそこに住む人達が細々と暮らすのみだ。家族も亡くなり、仕事もほとんどないから、サナも街を出た。だが、どうして■■■■にギルドのメンバーを派遣したのだろう。
「少し前に■■■■の人から、珍しいモンスターが出るという連絡をもらったんだ。それで、調査員を派遣したんだが、そいつらが帰ってこなくてな。何かあったんだろうが、運悪く、今は誰の手も空いてなくてな。ああ、どうしよう……」
「心配しないで。私が見てくるわ」
「サナが? いいのか? だが……」
「実は私、■■■■の出身なの。あの辺りは迷いやすいのよ。でも私は、道をよく知っているから。他所から来た人がよく迷う場所も知っているわ。調査員を見つけたら、連絡するわね」
サナがそういって微笑みかけると、男は「じゃあ、お願いするよ」と言って、調査員の顔と名前が書かれたリストを手渡した。
◆ ◆ ◆
サナは、引き受けたことを後悔していた。■■■■の周辺の様子がおかしい。動物の気配が全くしないのだ。鳥の声すら聞こえず、木の幹にはべったりと何かの血が塗りつけられている。他所者がよく迷い込む場所を探したが、調査員の姿はなかった。
「変だわ……」
ギルドに連絡を取ろうとしたが、宿に魔法道具を忘れてきてしまったことに気がついた。戻ろうかとも思ったが、もうすぐ日が暮れる。諦めて■■■■へ行き、そこで一晩明かすことにした。おそらく、この不気味な山道にいるよりはマシなはずだ。そう思っていたのだが……。
「何よ、これ……」
■■■■は、巨大な蜘蛛の巣のようだった。銀色に輝く蜘蛛の糸が建物に巻きつけられていて、人の気配がしない。おそらく、■■■■の街の人も、調査員たちもすでに……。
とにかく、応援を呼ばなくては。サナ一人でどうにかできる相手ではないだろう。サナは静かにその場を離れようとしたが、うっかり蜘蛛の糸の1本に触れてしまった。ガサガサという音とともに、街の中央から巨大な黒い影が飛び出してきた。
「……ッ!」
逃げようとしたが、恐怖で身体が動かない。現れたのはアラクネだった。それも、世にも珍しい雄の個体。サナも、見るのはこれが二度目だ。本来女性の上半身がある場所に、男性の上半身がついている。八本の蜘蛛の足をわさわさと動かして、サナに近づいてくる。
戦うしかない。サナは剣を抜いた。何度も斬りかかるが、アラクネは巨躯の割にすばしっこく、サナの攻撃を難なくかわす。アラクネは攻撃こそしてこないものの、サナを獲物として認識しているらしく、逃すつもりはないらしい。戦っているうちに、街の中央の方へ追いやられてしまった。街の中心は蜘蛛の糸が密集していて、サナはあっという間に身動きが取れなくなってしまった。
「嫌……」
サナは今にも泣き出しそうな顔で、牙を剥いて近づいてくるアラクネに「来ないで!」と叫んだ。このまま食べられてしまうのか。
そう覚悟したとき、アラクネがサナに液体を吐きかけた。じゅわっという音とともに、身につけていた衣服が溶けていく。身体も溶けてしまうのではないかと恐ろしかったが、大丈夫のようだ。痛みはない。だが、液体を浴びた瞬間から身体が痺れだし、全身の感覚がおかしくなった。意識が薄れていく……。
◆ ◆ ◆
気がつくと、どこか暗い場所に寝かされていた。見上げると、天井一面に蜘蛛の巣が張り巡らされている。
幸い、アラクネの姿はない。逃げなくては。立ち上がろうとしたサナだったが、身体に痺れが残っていて、地面に再び倒れ込んでしまった。
そこへアラクネが現れた。例の雄個体だ。サナの身体を持ち上げると、秘所を舐め始めた。
「や、やめて!」
当然抵抗を試みるが、身体に力が入らない。肉芽をちろちろと舌先で舐められ、強制的に快感を与えられる。サナは喘ぎながら、助けを求めて叫ぶ。だが、誰も来ない。来るはずがない。
アラクネはサナの乳房を口に含んだり、首筋を甘く噛んだりして、全身を愛撫した。背中や脚もじっくりと舐め回され、サナの身体は段々と快感に支配されていく。
秘所からは透明な愛液が滴り始めていた。それに気がつくと、アラクネはじゅるじゅると音を立てて、愛液を啜った。
「あ……っ」
サナは甘い声を漏らす。アラクネの人型部分のすぐ下から、怒張した肉棒があらわれた。赤黒く長いそれは、人間のものとは明らかに違う。先端よりも途中のほうが太く、裏筋にそってぼこぼこと隆起している。何か体液が分泌されているのか、ぬらぬらと光っている。
アラクネはその肉棒をサナの身体に擦り付けた。絶対に嫌だ。そのはずなのに、下腹部がきゅんきゅんと疼く。肉棒が秘所を撫でるたび、サナは嬌声をあげた。
「だめ……そんなの絶対だめ……」
言葉では拒みながらも、身体は早く欲しいというように愛液を分泌しながら、アラクネの人型の部分を抱きしめている。
ついに、肉棒がサナの秘所に押し当てられた。一瞬、アラクネが微笑んだような気がした。
ずぶっと肉棒が挿入される。待ち望んだ快感が、脳天まで突き抜けていくようだった。
「あぁあああっ! はぁ、あん……あっ」
そのままゆっくりと、身体の奥深いところまで肉棒が沈んでいく。アラクネの裏筋部分のぼこぼことした隆起が擦れるたびに、強烈な快楽がサナを襲う。
最奥に到達すると、アラクネはゆっくりと動き始めた。最奥を肉棒の先端に触れられるたび、甘美な刺激が生じる。サナの身体はアラクネに合わせて上下に動く。
「あん、んっ、はぁ……んっ」
一定の速度を保ち、アラクネはサナの身体を突き続けた。快感が高まっていき、サナはついに達した。叫び声をあげ、背中を仰け反らせる。その様子を見ていたアラクネがふっと笑い、突き上げる速度をあげた。
激しく突き上げられ、サナは何度も達した。呼吸もままならないほどで、身体は震え続けている。だが、アラクネは止まらない。汗ばむサナの身体を優しく愛撫しながら、休むまもなく激しく突き続ける。サナは達し、秘所から潮を迸らせ、愛液を垂れ流しながら、アラクネにしがみついていた。
「あ゛ッまた……イクッ、あん、ああっ、ん、ぁあああっ! あ゛っ!」
サナが達すると同時に、アラクネの肉棒がサナの奥深くでビクンと跳ねた。白濁とした精液が大量に注ぎ込まれる。結合部からごぷごぷと溢れ出してもなお、注がれ続けている。
「……はりゃ、孕む……こんなのっ、ぁああッ、いやぁ……」
熱い精液によって、サナは達してしまった。アラクネは最後の一滴まで精液を注ぎ込むと、ゆっくりと肉棒を引き抜いた。蜜壺から大量の精液が溢れ出し、地面に水たまりをつくる。意識が薄れていく……。
「ひゃああああッ!!!」
再び肉棒で身体を貫かれた。薄れかけていた意識は、快感によって引き戻される。
「も、もうだめッ! ああっ、やだまたイク……ん、ああっあ゛っ! ん、ああっ、うっ、んっ」
頭の中が真っ白になって、身体が小刻みに震える。アラクネはそんなサナの様子を見て、愉快そうに口角を上げる。
一回目よりも大きな動きで、速く突き上げ続けられる。入り口付近から最奥まで、何度も何度も。サナは無我夢中でアラクネにしがみつき、快楽に堕ちていく。達するたびに手放しかける意識は、さらなる快感によって即座に引き戻される。隆起が内側の壁を擦るたび、快感が全身を走る。サナはそのまま一晩中突きあげ続けられた。
朝日が射すころ、ようやくアラクネは満足したのか、サナの中に自分の欲望を解き放った。どくどくと注ぎ込まれるそれは、一度目の比にならない量で、サナの腹部は妊娠でもしているかのように膨らみ、結合部からもどぷどぷと精液が溢れ出す。息も絶え絶えのサナに注ぎ続けられる精液は火照った身体よりも熱い。長い時間をかけて、アラクネは最後の一滴までサナの中に注ぎ込むと、一気に肉棒を引き抜いた。
「ぁあああッ!」
それだけで達してしまったサナを見て、アラクネは笑った。肉棒によってせき止められていた大量の精液が、蜜壺から吐き出される。それにあわせて、サナの腹部も元の形状へ戻っていく。
「あ……あああ……」
サナが気絶したあとも、蜜壺からはまだごぼごぼと精液が溢れ続けていた。
◆ ◆ ◆
サナは夢をみた。初めてアラクネの雄個体を見たときのことを。
子供の頃だった。■■■■の側の山中で見た。当時子どもだったサナは、大人たちにモンスターを見つけても近寄らないこと、すぐにハンターに知らせることを言いつけられていた。だが、サナはどちらも守らなかった。
子供の頃に見たアラクネの雄個体は、まだ赤ちゃんだった。母親なのだろう。巨大なアラクネの亡骸の側でぴいぴいと泣いていた。母親の身体には、ハンターが使う矢が百本近く突き刺さっていた。雄個体はサナに気がつくと、蜘蛛の足を何本か振り上げて、威嚇してみせた。
サナは雄個体に向かって、自分のランチを投げると、その場を走り去った。そして、雄個体を見たことは、誰にも言わなかった。
目が覚めたサナは涙を流した。
「……私のせいだ」
もしあのとき、ハンターに知らせていたら。■■■■の人々は今も平和に暮らしていただろう。
「ごめんなさい……ごめんなさい……」
謝罪の言葉を述べながら涙を流すサナ。そんな彼女をアラクネは抱き上げた。
罪悪感で押しつぶされそうなのに、アラクネの反り勃つ肉棒を見ると、身体が火照って仕方がなくなる。
「ごめんなさい、みんな……こんな私で、ごめんなさい……」
サナは誰にも聞こえるはずのない謝罪を繰り返す。秘所からはとろりと愛液が垂れていた。