当サイトは18歳未満の閲覧を固くお断りしております。

03.写真

林を抜けると、ご婦人の言う岩場があった。人影はなく、これなら船を写すことなく海を撮影できそうだ。

一通り写真を撮り、適当な岩に腰かけ、撮影した写真を確認する。一枚の写真に目が留まった。

海面に何か浮かんでいる。サナは写真をズームした。

「これ……」

 写真には、魚人の頭らしきものが映り込んでいた。

 思わず海に目を向ける。しかし、そこには美しい海があるだけだった。

   ◆ ◆ ◆

旅館に戻ると、昼間の男性が旅館の庭の花にホースで水を撒いていた。

「海にでも行ってたのか? 汐の匂いがする」

「ええ、まあ……」

「どうした? 何かあったのか?」

 サナは何も言わず、カメラを男性に差し出した。男性はカメラの写真を確認すると、ほほ笑んだ。

「ここ穴場だよ。地元の人間に教えてもらったのか? 写真もよく撮れてるね」

「ここ、見て」

 サナは魚人の頭らしきものが移っているところを指さした。

「なんだこれ……。魚人か?」

「海を見たら、もう誰もいなかったけど。どうしよう、魚人が追いかけてきたら……」

「おいおい、魚人が追いかけてくるってなんだよ。魚人は……海にいるものだろ? よくは知らないけどさ」

「そんなの、わからないじゃない……」

 サナは今日はもう、部屋で休むことにした。