保護中: 伴野えい呪物展2018｜オンラインアーカイブ

本ページは、残存する記録資料を基に、2018年に開催された「伴野えい呪物展2018」をオンラインアーカイブ化したものです。本日時点で、同展の展示物をはじめとする関連物品はすべて、譲渡および紛失、廃棄済みのため、本ページに公開されている内容が唯一の参照可能資料です。 諸事情により、展示物への干渉・詮索・共有・記録(個人使用を含む)は一切推奨しておりません。 伴野えい呪物展2018とは？ 親戚に骨董商がいた関係で、幼いころから"古いもの"に触れる機会が多く、いつしか私自身もそういったものを個人的に蒐集するようになりました。皆様にもぜひご覧いただきたく、本展では、私が所有する呪物の一部を、公開いたします。 3日間という短い期間ではございますが、ぜひ足を運んでいただればと存じます。 ※当時のコメントより抜粋 開催概要 名称伴野えい呪物展2018会期2018年10月24日(水)～26日(金) 10:00～22:00※最終入場は21:30まで会場繝ｭ繝吶Μ繧｢ビル 3F※会場内でスーツ姿の男性を見かけてもけして声をかけないでください。入場無料 展示物 当時の展示物のうち、画像・パネル原稿などが残っていたものをご紹介いたします。呪物には、それぞれの物語がございます。お楽しみいただければ幸いです。 花婿 大きな木の下にタキシード姿の男性が立っている。その手には花束があるが、どこか寂し気だ。空の上のほうはすでに暗く、夜の訪れを感じさせる。そして、この絵の最大の特徴は、花婿のみで、花嫁がどこにも描かれていないという点だ。 この絵画の作者はわからない。サインもどこにも書かれていなかった。これを譲ってくれた人間も、この絵画についてほとんど何も知らなかった。 しばらくは自室の壁に飾っていたのだが、時折、この絵から木の軋むような音が聞こえてきて、私は気味が悪くなり、長年、物置にしまっていた。 展示会にて、たまたまこの絵画のことをご存知の方と話をすることができました。その方によれば、この絵画は作者の自画像なのだそうです。中央に立っているタキシード姿の男性こそが、この絵画の作者なのだと。彼は女性に縁がなく、若くして亡くなっています。この絵に描かれている木に首を括って、自ら命を絶ったのだと伺いました。『花婿』を描き終えてすぐのことだったと言います。 友達 Aくんの母親によれば、彼の様子がおかしくなったのは、Aくん一家が新居に引っ越してからだという。Aくんは見えない誰かと話し、遊ぶようになった。 Aくんによれば、それは「友達」と名乗っているらしい。私も単なるイマジナリーフレンドだろうと思っていたが、憔悴しきったAくんの母親に「いいからAくんと話してみてほしい。何かがおかしいの」と頼み込まれ、Aくんと会話することになった。 本展では、その際の音声記録と、Aくんが描いてくれた「友達」の絵、それからAくんの母親の日記の一部を展示する。 Aくんと私の会話(音声記録、書き起こし) ※プライバシー保護のため、Aくんの音声は加工してあります。 書き起こしAくん「おばさん、誰？」伴野「ええと……私はお母さんのお友達。そうだ、お母さんから聞いたよ。Aくんにもお友達がいるんだよね？」Aくん「うん」伴野「お友達は何ていう名前なのかな？」Aくん「知らない。”友達”だって言うだけだから。"友達"が名前かも」伴野「そっか、そっか。"友達"とは何をして遊ぶの？」Aくん「おしゃべり」伴野「そう……どんなこと話すの？」Aくん「……」伴野「どうしたの？」Aくん「なんで録音しているのか聞けって言われた」伴野「え……？ あ、ああ……そう、ええと、あの……ごめんね、あとでＡくんと私の会話をお母さんに聞かせてあげたいなって思って、録音してたの。黙っててごめんね」Ａくん「嘘だろって。もっとたくさんの人間に聞かせるつもりだろって言ってる」伴野「それは……うーん……ねえ、もしかして、”友達”は怒ってる……のかな？」Ａくん「ううん。笑ってるよ。見たことないくらい、楽しそうに笑ってる」 Aくんの母親の日記 20■■年■月■日(■)新居への引っ越完了。Aくんがもっとぐずるかと思ったけど、初めての自分の部屋に大コーフン！！早く新しい友だちができるといいね♡20■■年■月■日(■)今日は、一日中荷ほどき。力仕事は、全部パパに任せちゃった。腰にシップを貼ってあげたし、生ビールも冷やしておいたから、チャラで（笑）Aくんも、自分の荷物は自分でお片付けしてて、えらかった♡20■■年■月■日(■)ある意味、２度目の公園デビュー★前、住んでいたところよりも、子どもが多い地域みたい。よかったね、Aくん♡でも・・・・嫌なこと、聞いちゃったなぁ・・・・20■■年■月■日(■)Aくんが、誰かと話してる。ママ友に相談したら、イマジナリーフレンドじゃないかって。そんなに気にしなくて良いらしい。パパも、あんまり気にしてない・・・・20■■年■月■日(■)どうしても気になっちゃう。なんか・・・・君が悪くて・・・・20■■年■月■日(■)思い切ってAくんに誰と話しているのか、聞いてみた。名前は教えてくれないんだって。ただ・・・・友だちだって。20■■年■月■日(■)来る来る来る来る来るくる友だちが来る来る来る来るくるくるくる 神様 ■村で神様として祀られていた人形を特別に譲り受けた。人形といっても、どんなものかは私にもわからない。何重にも布が巻き付けられ、さらにその上からお札が貼られている。そのため、人形そのものをご覧いただくことはできない。また、これは非常に古いもので、破損する恐れがあるため、間違っても、人形にはお手を触れないようにしていただきたい。 そのほかの展示品、■村の写真や、私のフィールドワークの記録については、自由に見てもらって構わないが、けして線香の火は消さないように注意してもらいたい。 こちらにつきましては、盗難に遭いました関係で、展示は初日の10月24日のみとなってしまいました。当時、本展示を楽しみにしてくださっていた皆様には、改めてお詫びを申し上げます。 おわりに 2018年に開催したこの展示は、私にとって非常に重要なものでした。多くの方に私の呪物をご覧いただき、何人かの方にはお譲りすることもできました。またいつか、同様の展示会を開催できればと常々考えております。 伴野えい