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11.温室*

 温室には、見たこともない植物でいっぱいだった。アレク様は何を考えているのだろう。私を罰したいのか、閉じ込めておきたいのか。

 異国の植物たちなのだろう。城の庭園でも見たことがない植物だった。

「気に入った?」

「アレク様……」

 アレク様が温室の入り口に立っていた。

「どうして私をここに?」

「前に言ったろう。君が今度シオドアと話したら、地下牢よりもっといい場所に閉じ込めてあげるって」

「本当に、すみませんでした……」

「良いんだ。僕は今、とても気分がいい。ここに君がずっといてくれれば、僕は安心できる」

「それが、アレク様のお望みならば……ですが」

 アレク様の眉がぴくりと動いた。口答えするつもりかと言わんばかりだ。

「アレク様のお側にいてはいけないのですか」

「……」

 アレク様がゆっくりと近づいてくる。アレク様の唇が、首筋に触れる。そのまま彼は言葉を口にした。

「ダメだよ」

 唇から振動が首筋に伝わり、なんだかぞくぞくした。

「でも――」

「僕の側に居たら、目立つ。シオドアだけじゃなく、他の連中も君を狙っている」

「狙うだなんて、誰が?」

「王子を二人も狂わせておいて、分からないと言うのか?」

 私は首を傾げる。

「好きだよ。君ははっきり言わなくちゃ、分からない子なのかな」

 私の顔がみるみる赤くなる。あのアレク様が私のことを好きだなんて。叫びをあげながら、温室中を駆け回りたい気持ちだった。

「私も、私もアレク様が好きです。ずっと……ずっとお慕い申し上げておりました」

 アレク様は私にそっとくちづけた。

  ◆ ◆ ◆

 僕は目の前の愛しい彼女を、今すぐにでも裸にしてベットへ連れて行きたかった。そのまま何度も何度も体を重ね、深く深く愛し合いたかった。そうだ、好き同士なら何も問題ないじゃないか。

 正直、サナが僕のことをどう思っているか、今まで分からなかった。好きなら好きだと、どうしてもっと早く言ってくれなかったのだろう。

 唇を重ねているだけなのに、サナは呼吸を荒くし、頬を赤らめ、とろんとした目で見つめてくる。優しく抱きしめてやると、彼女も僕の背中に腕を回した。唇を離し、彼女の首筋にいくつも赤い痕を残してやる。

「これは隠しちゃだめだからね」

「隠しません……」