温室には、見たこともない植物でいっぱいだった。アレク様は何を考えているのだろう。私を罰したいのか、閉じ込めておきたいのか。
異国の植物たちなのだろう。城の庭園でも見たことがない植物だった。
「気に入った?」
「アレク様……」
アレク様が温室の入り口に立っていた。
「どうして私をここに?」
「前に言ったろう。君が今度シオドアと話したら、地下牢よりもっといい場所に閉じ込めてあげるって」
「本当に、すみませんでした……」
「良いんだ。僕は今、とても気分がいい。ここに君がずっといてくれれば、僕は安心できる」
「それが、アレク様のお望みならば……ですが」
アレク様の眉がぴくりと動いた。口答えするつもりかと言わんばかりだ。
「アレク様のお側にいてはいけないのですか」
「……」
アレク様がゆっくりと近づいてくる。アレク様の唇が、首筋に触れる。そのまま彼は言葉を口にした。
「ダメだよ」
唇から振動が首筋に伝わり、なんだかぞくぞくした。
「でも――」
「僕の側に居たら、目立つ。シオドアだけじゃなく、他の連中も君を狙っている」
「狙うだなんて、誰が?」
「王子を二人も狂わせておいて、分からないと言うのか?」
私は首を傾げる。
「好きだよ。君ははっきり言わなくちゃ、分からない子なのかな」
私の顔がみるみる赤くなる。あのアレク様が私のことを好きだなんて。叫びをあげながら、温室中を駆け回りたい気持ちだった。
「私も、私もアレク様が好きです。ずっと……ずっとお慕い申し上げておりました」
アレク様は私にそっとくちづけた。
◆ ◆ ◆
僕は目の前の愛しい彼女を、今すぐにでも裸にしてベットへ連れて行きたかった。そのまま何度も何度も体を重ね、深く深く愛し合いたかった。そうだ、好き同士なら何も問題ないじゃないか。
正直、サナが僕のことをどう思っているか、今まで分からなかった。好きなら好きだと、どうしてもっと早く言ってくれなかったのだろう。
唇を重ねているだけなのに、サナは呼吸を荒くし、頬を赤らめ、とろんとした目で見つめてくる。優しく抱きしめてやると、彼女も僕の背中に腕を回した。唇を離し、彼女の首筋にいくつも赤い痕を残してやる。
「これは隠しちゃだめだからね」
「隠しません……」